この詩集は2013年に韓国で出版され、日本では2022年に出版されました。ハン・ガンさんが若い頃に書いた詩など作られた時期が異なる作品が収録されており、時間の流れも楽しめます。「回復」という大きなテーマの中、ハン・ガンさんの繊細さを感じながらも包まれるようなたくましさもあり、読後はほんのりあたたかい気持ちになります。
私はインタビューやスピーチなどでハン・ガンさんが囁くように紡ぐことばにいつもはっとさせられます。小説も美しいことばが散りばめられていて大好きですが、ハン・ガンさん最初は小説家ではなく詩人になりたかったと何かのインタビューで知りました。
本の装丁の美しさにも注目です。見返しやスピンの青が夕方の一番濃い色のような気がして好きです。あとがきの訳者の対談では韓国の現代詩の歴史が知れてとても面白いので必読です。