行事名 講演会 「私の中の韓国」 第6回 15代沈壽官さん
日時 12.09.19∼ 12.09.19
韓国文化院では今年4月から10月まで毎月1回、文化講演シリーズ「私の中の韓国」を開催しています。 毎回ご好評いただいている本シリーズですが、第6回目ははるばる鹿児島からお越しいただいた15代沈壽官さんの講演でした。 「四百年の時空」という題名で沈壽官さんは、約400年前に祖先が豊臣秀吉の朝鮮侵略により連れて来られた歴史から語り始めました。 当時、朝鮮から連れてこられた朝鮮陶工の技術から、萩焼、有田焼、唐津焼、そして沈家の薩摩焼などが生まれたとされています。 このような狭い範囲内で表情が異なる焼き物が生産されているのは世界的にも珍しく、同じ韓国と言うルーツでありながらも各地で取れる材料により表情が異なっているわけです。 この話をされながら、沈壽官さんは韓国と日本の焼き物の差は韓国では「高麗青磁」「朝鮮白磁」と呼ぶように、時代ごとに代表的な焼き物があるのに対し日本では時代別ではなく、各地域ごとによって焼き物が異なり、それぞれが今の時代にまで各地域の代表的な焼き物として伝わってきていると語ります。 韓半島から連れて来られた陶工職人らの多くは、各地にて日本の姓を与えられつまりは、日本化されることを要求されたと言いますが、薩摩藩の領主島津家はそうではなかったようです。 島津家は朝鮮との密貿易のため、沈家に焼き物作りだけではなく、朝鮮との間をつなぐ通訳の任務も与え朝鮮の言葉、衣装などもそのまま使うことが認められたそうです。薩摩につれて来られた陶工職人らは美山地区の土地を与えられ、そこを拠点に薩摩焼を作っていたのですが、島津家の政治上の事情とはいえ、いわば「ミニコリアタウン」のような社会がそこには形成されていたのでした。 更に薩摩藩は、幕末の島津斉彬の時代になると、世界各国の潮流に反応し日本の近代化の基礎をつくるためには、世界を相手にしないといけないと考え、薩摩焼はそのような政治的意味合いを持つようになり、海外へ進出するための武器として重宝され1867年のパリ万博に「薩摩琉球国」として単独参加し、その際に沈家の薩摩焼が出品され大好評を博します。 しかしながら、時代が明治に入ると「富国強兵」のスローガンのもと、日本政府はついには韓半島を植民地化し、沈家は韓国の名前で生活しづらくなっていき、様々な差別にあったりもするわけですが、そのような中においても薩摩焼の沈家門を代々守り抜いてきたのです。しかしながら、その15代を継ぐのに、ご本人はかなり迷われたようです。 400年の歴史を継ぐことは、同時に日本と韓国のはざまにおける複雑な心境までも継がなくてはいけないということは正直負担でもあったと率直に語る15代沈壽官さん。 自分はこの仕事が向いているのか。家業を継いでこの世界でずっと住んでいかなくてはいけないのか。 日本では「朝鮮人」と差別されながらも、韓国に留学した時には大学の担当教授からの「留学する2年間の間に、日本でついた400年の垢を洗い出して韓国の魂を注入して行くように」という言葉に違和感を感じてその学校を辞めてしまった沈壽官さん。 それでも、韓国のキムチ甕工場で修業し、『故郷忘じがたく候』という作品で父である14代と深い交流のあった司馬遼太郎さんに励まされ、そして、10000ページ以上に及ぶ先祖の残した過去の記録を読みながら先祖と交信することにより未来が開けてきたと語りました。 200年前に6代が残した文章には、行ったことのない祖国を懐かしむ赤裸々な心情が吐露されており、それ以外にも、家業を継ぐことへの悩みや覚悟など、みんな同じように悩み苦しみながらここまでつながっていることを知った沈壽官さん。 遂には、国を超えた「個」が大事で、自分は一人の人類としてきちんと存在しているか、どこにいようと自分がどうあるかが大事だということに気づかされ、美山に戻るのが嫌じゃなくなり、15代襲名を決意するに至りました。 最後に15代沈壽官さんはこう語りました。 「確かにルーツは韓国ですが、今の私に求められていることは鹿児島で薩摩焼を作ることです。与えられた仕事に専念し、日本社会でよく頑張ったなと言われれば、きっと韓国でも、あいつは日本でよく頑張っている、と思われることでしょう。 更にその向こうには、インターナショナルな世界があるかもしれません。」 ご好評いただいているシリーズ講演会「私の中の韓国」は、いよいよ来月が最後の回となります。 最後を飾るのは、韓国での取材が豊富な韓国通・朝日新聞の記者桜井泉さんをお迎えして「日本人の韓国朝鮮観、新聞の見た韓半島」という題名で講演をうかがいます。どうぞご期待ください!
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