趙義成 東京外国語大学大学院総合国際学研究院准教授
ハングルの日を記念して、韓日交流史講演会シリーズの番外編として、特別講演会「ハングルの成立と歴史」を10月8日(水)にハンマダンホールにて開催しました。
今回の講師である東京外国語大学大学院総合国際学研究院准教授の趙義成さんは、『月印釋譜(巻一)語彙索引』(図書出版博而精・韓国)や『訓民正音』(平凡社東洋文庫)などの著作があり、中世語を専門とされています。
現代韓国の公用文字であるハングルについて、その成立までの経緯と変遷について、パワーポイントや配布資料を駆使され、歴史的に概観される内容の濃い講義でした。
ハングル以前の文字生活はどういう状況だったのかといった話から始まり、世宗の治世( 1418 ~1450)である1443年12 月に新しい文字を完成させ、その文字を1446 年9月上旬に「訓民正音」の名で頒布したことによって、それまで漢字を用いて断片的・暗示にされてきた朝鮮語がこの訓民正音創製により初めてその明確な全体像を現したといえるという歴史的な背景・意義から、書籍『訓民正音』本編と、全編が漢文によって書かれている解説書である「解例」の構成、ハングルの製字原理と製字思想、『訓民正音』 に見る文字の使用法、陰陽五行に基づく音分類や三才といった原理のことから、さらに、ハングルの実用から出版物、ハングル書法、また、近代の正書法の整備など、ハングルが名実ともに民族の文字として確乎たる地位を占めていった過程などと、さまざまな視点から詳しく解説されました。
英知によって緻密に作り上げられたハングルは、単に文字であるというだけでなく、その背後にある朝鮮半島の伝統文化をも感じさせてくれるといった意味においても、ハングルを知ることは韓国を知ることであり、その伝統を知ることであるといえることができようと締めくくられました。
昨年に引き続き、ハングルの日記念特別講演にお越し頂いたお客様もけっこうおられたようで、ハングルについてさらに広く、深く知ることができたというお声も多数頂きました。
今後の講演会もご期待下さい。
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