行事名 講演会シリーズ2014「韓日交流史」第3回杉山享司さん
日時 14.03.12∼ 14.03.02
韓国文化院では、毎年ご好評いただいている講演会シリーズを今年も1月からお届けしております。今年はアンケートでもご要望の多かった歴史の中でも「韓日交流史」をメインテーマに、古代から近現代まで様々な視点や時代を取り上げて、全11回にわたって韓国文化院ハンマダンホールを舞台にそれぞれの分野のエキスパートに語っていただく予定です。 この講演会シリーズの第3回目が、3月12日(水)に開催されました。今回のゲストは、3月5日から22日まで韓国文化院1階ギャラリーMIで開催される特別展示会「海峡をつなぐ陶匠400年の旅~李参平と沈当吉(沈壽官家初代当主)をめぐって」を監修された日本民藝館学芸部長の杉山享司さんです。 杉山さんには、展示と同タイトルで、日本の陶磁史において朝鮮陶磁からどのような影響があったのか、そしてその影響の中でも朝鮮から連れて来られた代表的な有田焼の陶匠李参平と薩摩焼の沈当吉から始まる両家の歴史をひも解きながら語っていただきました。 日本において朝鮮陶磁が注目されるようになったのは、安土桃山時代のことで、朝鮮の地方窯で作られた日常使いの碗が茶人の目にとまるようになり高麗茶碗と呼びながら珍重されるようになったと言います。そのような中、起こったのが別名「やきもの戦争」とも呼ばれる文禄・慶長の役(壬辰倭乱・丁酉再乱)です。 朝鮮に渡った多くの大名は、様々な先進技術を持った朝鮮人を連れて帰国するわけですが、この中に多くの陶工が含まれていました。そして、各領地内で陶磁器を作らせ、その過程において日本国内に窯やロクロ、土、釉薬などの工夫や改良が施され日本の陶磁器生産技術は飛躍的に向上しました。萩焼(山口)、上野焼(福岡)、有田焼(佐賀)、唐津焼(佐賀)、薩摩焼(鹿児島)など全てそうです。 また、近代においてこのような朝鮮陶磁器の美的価値を広く世に知らしめた人物として柳宗悦を紹介しました。柳は朝鮮工芸を愛した浅川伯教・巧兄弟を介して韓半島に度々渡り、朝鮮文化を敬愛するようになったと言います。以降、日本の植民地政策を批判する文章を発表しながら朝鮮の文化財いの保護を訴えていきます。そして、自らも動き、1921年には日本で最初の「朝鮮民族美術展」を開催、1924年には景福宮内に朝鮮民族美術館を開設し、1936年に開設した日本民藝館にも朝鮮陶磁が約600点収蔵されています。 続いて、「やきもの戦争」で日本にわたって陶工の中でも、代表的な有田焼の李家と薩摩焼の沈家にの歴史を振り返りました。 李参平は佐賀藩に連れて来られ、当初は佐賀城下で暮らしながら焼き物を作り続けますが、思い通りの焼き物ができないということで良質の材料を求めて辿りついたところが現在の有田でした。現在でも材料を発掘した場所と朝鮮陶工等が使っていた窯は史跡として残っています。 中でも、李参平を「陶祖」として祀っている陶山神社を見ると、有田焼の神様としていかに周りから尊敬されているかがわかります。初期の有田焼は朝鮮陶磁器の形を元に中国の紋様を取り入れた染付が特徴ですが、1640年代以降カラフルな色合いを入れることが可能となり、ヨーロッパの国々に輸出されるようになり、世界へと羽ばたくようになります。 一方、薩摩に連れてこられた沈当吉は、1603年に苗代川の土地を与えられ、藩の命を受けて白土を発見し、薩摩焼の基礎を築きました。 島津藩は朝鮮人陶工に士分を与え、手厚くもてなす一方、朝鮮との交易のために通訳としての任務も与え言葉等を忘れぬよう、朝鮮の言葉や習俗などの維持を命じる等、独特の統治システムを作りました。初代の沈当吉はその技術が認められて島津家御用陶磁の制作を任され、代々島津家御用の器を焼くようになります。中でも12代沈壽官の白薩摩は1867年のパリ万博に出品され、ヨーロッパの人々魅了して一躍有名となりました。 最後に杉山さんは、現在活躍中の15代沈壽官さんの言葉 「連れて来られた先祖たちは、自らの運命の儚さを恨みながらも、日本に対しては単に反発や敵愾心を抱いただけではなく先祖らの先進技術と思考を認め、高く評価し、励まし、協力してくれた人々の存在なしには白薩摩は実現しなかったであろう」を引用しながら、文化とは一方通行ではなく、互いの融合によってまた新たな文化が作られるものであるとしながら、まさに、有田焼や薩摩焼がそれであると強く語り、過去の歴史におけるこのような事例を振り返ってみることから、今後の韓国と日本の関係を考えてみるべきであり、このような事例を今後も韓国と日本の間でどんどん作り出していくことこそ両国関係においてもだいじなものになると語って講演を終えました。 今回の講演タイトルと同タイトルの展示会「海峡をつなぐ陶匠400年の旅-李参平と沈当吉(沈壽官家初代)をめぐって-」は3月22日まで韓国文化院1階ギャラリーMIにてご覧いただけます。 東京ではなかなか見られない作品もありますので、どうぞお越しください。 ★「海峡をつなぐ陶匠400年の旅」の詳細はこちらへ➡

➡関連内容はこちら

写真 内容
 講演会シリーズ2016 『もっと知りたい韓国、韓日交流』第1回 康熙奉さん 講演会シリーズ2016 『もっと知りたい韓国、韓日交流』第1回 康熙奉さん... photo-icon

韓国文化院と早稲田大学韓国学研究所では国交正常化半世紀の新たな元年である今年、「もっと知りたい韓国、韓日交流」をテーマに講演会をお届けしております。 第1回は韓国の...

2016年春の特別公演「李京和のチュムパン」 2016年春の特別公演「李京和のチュムパン」 photo-icon movie-icon

2016年春の特別公演「李京和のチュムパン」公演が3月29日(火)韓国文化院ハンマダンホールにて開催されました。 今回の公演は旿燕文化芸術団(団長 李京和)によるソゴチ...

第9回クムホ・アシアナ杯「話してみよう韓国語」高校生大会 第9回クムホ・アシアナ杯「話してみよう韓国語」高校生大会 photo-icon movie-icon

去る3月12日(土)に韓国語界の甲子園、第9回クムホ・アシアナ杯「話してみよう韓国語」高校生大会が韓国文化院ハンマダンホールで開催されました。 今年は、本大会史上最多と...

2016-2018韓国訪問の年記念「韓国地域文化観光展」 2016-2018韓国訪問の年記念「韓国地域文化観光展」 photo-icon

この度、韓国文化院では、忠清南道、済州特別自治道、江原道、韓国観光公社日本地域本部、(財)韓国訪問委員会との共同主催により「韓国地域文化観光展」を約1か月にわたり韓国文化...

「話してみよう韓国語」 福島大会再開 「話してみよう韓国語」 福島大会再開 photo-icon

去る2月28日(日)に福島駅エスパル・ネクストホールにて「話してみよう韓国語」福島大会が再開されました。 2011年東日本大震災の影響で中止となってから5年ぶりに再開さ...

駐日韓国文化院 世宗学堂 受講生交流会 2016 駐日韓国文化院 世宗学堂 受講生交流会 2016 photo-icon

去る2月27日(土)午後、韓国文化院ハンマダンホールを会場に駐日韓国文化院 世宗学堂に通う受講生が一堂に集まり交流会が開かれました。 今年は18クラス、約175名の皆様...

「話してみよう韓国語」 第7回 新潟大会 「話してみよう韓国語」 第7回 新潟大会 photo-icon

去る2月14日(日)に新潟県立大学にて「話してみよう韓国語」第7回新潟大会が開催されました。 今年の新潟大会には26組52名が本選の舞台に上がり、「高校生スキット部門」...

韓日合作映画「ザ・テノール 真実の物語」特別上映会 韓日合作映画「ザ・テノール 真実の物語」特別上映会 photo-icon

駐日韓国文化院では、2016年最初の映画イベントとして、ガンで歌声を失った韓国の天才テノール歌手と、彼を救った日本人音楽プロデューサーの実話を映画化した韓日合作映画「ザ・...

「話してみよう韓国語」東京・中高生大会2016 「話してみよう韓国語」東京・中高生大会2016 photo-icon

去る2016年2月11日(木・祝)韓国文化院のハンマダンホールにて今年で7回目を迎えた「話してみよう韓国語」東京・中高生大会2016が開催されました。 大会は「中高...

韓国のお正月の風景 2016 韓国のお正月の風景 2016  photo-icon movie-icon

韓国文化院では毎年韓国のお正月(ソルラル)の時期に合わせ、韓国のお正月を体験できるイベントを開催しています。 韓国では、現在でも伝統的な祝日は陰暦でお祝いするため、毎年お...



코시스센터
webzine koreanet
Korea Net Japanese
Hello K! - Youtube
STAY HOME AND ENJOY K-ARTS