行事名 講演会シリーズ2014「韓日交流史」第2回平川南さん
日時 14.02.27 ~ 14.02.27
韓国文化院では、毎年ご好評いただいている講演会シリーズを今年も1月からお届けしております。今年はアンケートでもご要望の多かった歴史の中でも「韓日交流史」をメインテーマに、古代から近現代まで様々な視点や時代を取り上げて、全11回にわたって韓国文化院ハンマダンホールを舞台にそれぞれの分野のエキスパートに語っていただく予定です。 この講演会シリーズの第2回目が、2月27日(木)に開催されました。今回のゲストは、主に出土文字資料から日本の古代史を研究され、近年では韓国の木簡調査などの研究もされていらっしゃる国立歴史民俗博物館長・山梨県立博物館長の平川南さんをお招きし、「文字がつなぐ~古代の日本列島と韓半島」というタイトルで、韓国と日本の出土文字資料を対照比較しながら、いかに両国の文字文化に類似性・共通性があるかを語っていただきました。 今回の講演会は大きく4つのテーマがありました。最初のテーマは、「記録のはじまり~文字と暦の導入」です。ここで平川さんは、「まず、国家が成立してやることは、中央の指示系統が隅々まで行きわたるように文字の統一を図り、後世に歴史の正当性を伝えるために歴史を綴っていこうとするが、ここで必要なのは暦である」と語り、日本書紀の記録を引用して553年に大和朝廷が百済に使いを出して医博士、易博士と共に暦博士を招聘をした事実を紹介し、当時の文字と言えば漢字ですが、これも百済から伝わっていることから、「当時の日本は国家の基礎及び根幹となる文字と暦は、韓半島である百済から伝わった」と紹介し、それを裏付けるような暦が刻まれた刀や当時使用されていた木簡制の暦などの史料を写真で紹介しました。 2つ目のテーマは「文体~日本語・韓国語の語順による変体漢文」と題し、「日本でも韓国でも古代の政治的文書は全て完璧な漢文で書かれているが、村単位や一般的にもそうであったのだろうか」としながら、「そこまで調査することにより、当時の生活の実態が見えてくる」と力説されながら、韓国の慶州にある6~7世紀頃のものと推測される「壬申誓記石」や、7~8世紀頃のものと推測される日本側の木簡や土器などに記録された漢文が、中国式の語順ではなく韓国と日本の語順に漢字が記録されているという共通点を紹介しながら、当時既に自分たちの言葉の実態に合わせて漢文を受け入れていた実例をあげてくださいました。中でも、韓国の百済の都であった「双北里遺跡」から1998年に出土された荷札と思われる木簡には、日本式の名前が知るされており、この木簡は韓国で初めて日本式の名前が記された文字が発掘されたものとして意義があり、韓日交易の実態を垣間見ることができると語りました。 3つ目のテーマは「文字の機能~文字・人・場」と題し、神仏への祈りを巡る文字の使い方などを説明、中でも韓国でも日本でも魔除けの符号として、「井」に似た文字が共通して使われていた土器や海女の道具などの史料を紹介、韓国では5~6世紀頃と思われる出土品を中心に、日本では8~9世紀頃と思われる出土品を中心に現れるのを見ると、やはり韓半島から日本へ渡来人等を介して伝わったものだろうと語りました。 最後のテーマは「国字・国訓」です。一般的に、「国字」と言えば、中国にはなく日本でしか使われていない漢字のことを意味し、「国訓」とは同じ漢字でも中国にはなく、日本でしか使われない意味のものを指しますが、果たしてそうなのだろうか?ということです。つまり、中国の漢字としか比較していないため、肝心の韓半島と比較するという視点が抜けていると平川さんは強調します。実際、国字としながらも、実際に韓国で発掘された史料を提示しながら、「畠」「蚫」などの漢字は韓半島でも類似事例を見ることができると語り、国訓についても「鎰」(新羅と日本では「かぎ」の意味として使っていたが、中国ではその意味はなし)、「椋」(新羅と日本では「蔵」の意味として使っていたが、中国ではその意味はなし)等の例を両国の出土木簡等の史料を提示して説明しながら、「このような事実を発掘していくことこそ、本日の講演タイトルでもある文字をつなぐ日本列島と韓半島である」と語りました。そして、平川先生は「文字に限らず、古代の日本を検証するのに韓半島が抜け落ちることが多々あるが、中国から日本に伝わる過程で決して欠かせない存在はその間にある韓半島であり、このような研究を両国において、どちらが先かという問題ではなく、当時の実態を解明するという視点に立って、今後もこのような研究を続けていきたい。今のような両国の関係だからこそ、再び古代の強い縁のある交流を再照明するという作業も重要だ。」と熱く語りました。 講演後の質疑応答の時間では質問が絶えず時間が足りないくらいでしたが、「史料を通じて、古代の韓国語と日本語の文法的な共通性も見える」など、講演内には出て来なかった貴重な話題がいくつも飛び出し、大変充実したフロアとの対話の時間となりました。 なお、平川さんが館長を務める国立歴史民俗博物館では、今年の10月に今回の講演タイトルと同じ「文字がつなぐ~古代の日本列島と韓半島」と題した展示を開催する予定とのことで、10数年にわたって同博物館と韓国国立中央博物館、韓国国立文化財研究所、韓国国立海洋文化財研究所と共に文字について研究してきた新たな発見と予備研究成果を披露する予定だそうです。今回の講演会お越しになった方々はもちろん、残念ながら来られなかった方々は是非この秋、千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館にお出かけください!
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