韓国文化院が今年1月から11月にかけて毎月1回お届けする講演会シリーズ「韓国の魅力」の第3回目が3月6日(水)ハンマダンホールで開かれました。
第3回目の講師は、日本でも数少ない韓国伝統音楽や歴史の研究をされていらっしゃる東京芸術大学音楽科教授の植村幸生さんをお迎えして「韓国映画にみる伝統音楽と芸能」というタイトルで語っていただきました。
「映画を入口にすれば、なかなかとっつきにくい韓国伝統音楽もすんなりと受け入れていただけるのでは」と語りながら講演をスタートした植村さんは、まずは講演に先立ち、これは知っていてほしい韓国伝統音楽のキーワードとして「소리(音・声)、놀이(遊び)、국악(国楽)、정악(正楽)、민속악(民俗楽)」を紹介。
それぞれの意味はもちろん、日本語との使い方の差や意味合いの差等を詳しく説明しました。
本編に入るとまず紹介したのは、映画「風の丘を越えて」のパンソリの場面。
ここからパンソリの由来や歴史、5大パンソリ等をソウル大学博物館所蔵の朝鮮時代の絵画等を見せながら詳しく説明し、更には今の韓国ではどのようにパンソリが楽しまれているかを、植村さんご自身がパンソリの本場全羅道での公演の様子を録画した映像資料で紹介、更には20世紀に入って、パンソリの舞台化の試みが盛んになり「唱劇」が生まれたことにまでふれ、その舞台公演の様子まで映像資料で紹介しました。
そして、「独断的パンソリの楽しみ方」と題し、①出演者個人の魅力を味わう、②「ソリ(言葉)」と「ノレ(歌)」の中間の部分に注目、③その場に「参加」してみる、と語りながら、パンソリ公演へ一度足を運ぶことを勧めてくださいました。
次に紹介したのは、何度か映画化された「黄眞伊」の中でもコムンゴを演奏する場面のある1986年度版。
黄眞伊がコムンゴを弾く場面を紹介しながら、コムンゴの構造や特徴、歴史等はもちろん、彼女の人物像まで説明し、更には、そこから関連していく「風流房」や「妓生」文化を朝鮮時代の有名な画家である申潤福や金弘道の作品を通じて紹介、そして映画で紹介した演目が「コムンゴ散調」ということから「時調」や「歌曲」にまで話が広がり、最後には韓国国立国楽院の歌曲の演目の演奏映像まで紹介しました。
最後に取り上げた映画は「王の男」の仮面劇の場面。
元々は大道芸人だったのに、後に宮廷芸人として取り上げられることになる映画に出てくるコンギルとチャンセンが、実際に記録として登場する事実を紹介したり、そこから当時の大道芸人の種類や性格、そしてそれらが今にも伝わるとして、現在の南寺党によるサムルノリと綱渡りの映像資料を見せたり、一方では、映画の主人公燕山君の人物像や当時の時代背景、更には朝鮮王朝における宮廷芸人のあり方などにまでわたって詳しく説明してくださいました。
最後に、植村さんは
「本日紹介した韓国の伝統音楽や芸能には、日本にも非常に類似したものもあります。
ただ、多くのものは口伝などで伝わったものが多く記録として残っているものが少ないのではっきりとどのように伝わったのかというのは実証するのは大変難しいのですが、だいじなのは、双方の文化の類似点や相違点を探しながら興味を持ち、片方ではなく両方共に共有できれば本当に意味あることだと思います」と語りながら講演を終えました。
本講演会シリーズ第4回目は4月24日(水)に様々な韓国映画やドラマにも協力した韓服デザイナー李敍奫(イ・ソユン)さんをお迎えして行う予定です。
どうぞご期待ください!
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