行事名 シリーズ講演会「私の中の韓国」最終回
日時 12.10.24 ~ 12.10.24
韓国文化院が今年4月から毎月開催してきた韓国文化講演シリーズ「私の中の韓国」。お陰さまでどの回もご好評いただきましたが、その最終回となる講演会が10月24日韓国文化院ハンマダンホールで開催されました。 最後の舞台を飾ったのは、朝日新聞国際部記者の桜井泉さんです。 桜井さんは現在はアジアネットワーク事務局長として、日本とアジアを題材にした記事を書き続けていますが、休暇を使って韓国を津々浦々と訪ねるなど、記者の中でも韓国通と知られています。 そんな桜井さんはまず語ったのは、桜井さんと韓国の出会いです。 韓国に関心を持つようになたのは中学生の頃(1970年代前半)、韓国で起こった一連の政治的な事件がきっかけでした。そして、大学生(1980年代)になると意識的に韓国と関わるようになり、日本で起こる韓国の民主化を支援する市民運動などにも参加するようになります。 その頃は、「韓日友好」という言葉はあっても、まだまだ政治や経済的な面ばかりで、韓国に興味があるという人も、今のように文化や言語に興味があるというよりは、政治的な関心を持つ人がほとんどで、新聞もやはりそのような報道に偏っていたと語ります。 このような中、1984年に朝日新聞社に入社したのですが、当初は韓国についての記事を書きたくても入社したてでそんな希望は叶いません。幸い赴任地が韓国と近い九州で、筑豊地域に住む在日韓国人を記事の対象にするなどしながら、韓国との関わりは維持され、遂には、1991年韓国へ語学研修の機会を得て、1年間韓国での生活が始まります。 桜井さんは韓国生活を通じ、韓国は反日国家というイメージが強いのに、日本人だからという理由で嫌な思いをしたことは殆どなくむしろみんな親切で、報道も何か社会的なマターが報じる時はテレビも新聞もこぞって日本の場合を取り上げたり、日本と比較する等、いつも日本のことを意識し、日本は常に大きな存在としてあるように感じたそうです。 このように桜井さん自身と韓国との関わりを紹介し、続いて語られたのは今回の副題でもある「日本人の韓国朝鮮観、新聞の見た韓半島」です。 実際の新聞の記事を資料にまず紹介したのは、「韓日強制合併」を報じた1910年当時の朝日新聞の記事です。 この当時はどのマスコミも、いわゆる「植民地史観」に基づいた視点に偏った記事ばかりでこの影響は終戦後の今でも一部の言論で残っているとのこと。 続いては、終戦後1950年代から70年代頃までの日本の新聞報道を見ると、北朝鮮を称え、韓国には厳しい報道姿勢が目立ちます。 その理由として桜井さんは、①当時の記者や特派員の中には社会主義国家への憧れを持つ者が多く、その理想国家を築き上げようとする北朝鮮を応援したい気持ちがあり、②植民地時代の贖罪意識も働き、③日本の戦犯またはその影響を受けた日本の保守派執権者が韓国と手を結んで北朝鮮を牽制しようとすることへの怒りとその背後にいるアメリカへの反米意識などがあったせいではないかと分析します。 しかし、このような報道姿勢は1980年代に入ると状況が変わります。1970年代頃から、1959年に大々的に始まった在日同胞の北朝鮮への帰国事業が現実と異なるという噂、北朝鮮への帰国者との連絡が途絶えたなどの噂が聞こえては来ましたが、1983年に起こったラングーンテロ事件、そして1987年に起こった大韓航空機爆破事件と金賢姫逮捕に伴い拉致問題がクローズアップされ、北朝鮮への疑問がふつふつと湧いてくるようになったと語ります。 このような新聞報道の変遷と共に近現代の韓日関係を語った桜井さんは、ご自身が韓国での生活経験以降、この20年間、ずっと韓日関係を見守り続けながら、本当に今の両国の関係は成熟したと語り、その例として今年両国が政治的に不安定な状況であったにもかかわらず「このような時だからこそ交流を」という両国関係者の思いで実現した9月末の「韓日交流おまつり」の開催を挙げ、国交正常化40周年を迎える節目の年であるにもかかわらず文化行事までも続々と中止に追いやられた日中関係と対照的だと語りました。 これほどまでに成熟した関係になった背景として、活発に行われてきた文化交流と人的交流にあると強調しました。 やはり今年韓国大使館が開催した「日韓交流作文コンクール」に応募してきた中学生や高校生までも、作文を通して「反日報道があっても、全員がそうではない」「マスコミ報道に惑わされることなく、自分で体験したことや様々な情報を得て自分で考えたい」などと語る等、中学生や高校生と言った若い方々が、マスコミを冷ややかに見ながら冷静な態度で、韓国で出会った様々な自分の体験に基づいて韓日関係を冷静に見ようとしていると紹介しました。 最後に桜井さんはこう語りました。 「以前は、「韓国」といって思い浮かべるのは政治家の顔であったりしましたが、今では「韓国」と言えば、韓流スターや仲のいい朴さんや金さんの顔を思い浮かべます。交流に厚みが増した結果、このような日本人が増えてきていますが、そこに韓日関係の希望が見えます。」 「私の中の韓国」シリーズは今回で終わるとなりますが、韓国文化院では来年もテーマを変えて引き続き文化講演会シリーズを開催する予定です。 どうぞご期待ください!
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