◎出演者プロフィール
パク・チョンウォン(ソプラノ)Park Jung-won(Soprano) ニューヨークのジュリアード音楽院・同大学院を修了後、直ちにアメリカン・オペラセンターでプッチーニ「ジャンニ・スキッキ」、グノー「ミレイユ」などのオペラでアメリカ・デビューを飾る。その成功がピーター・ブルックの目に留まり、彼の新しいプロダクション「カルメンの悲劇」に抜擢され、更にブルック演出による「ペレアスとメリザンド」でもタイトルロールを受け持ち、パリ、ウイーン、バルセロナ、リスボン、チューリヒ、ベルリン、ハンブルク、フランクフルトなど、ヨーロッパ主要都市で絶賛された。このほか、パリのオペラ・コミック座へビゼーの「真珠取り」でデビュー、そこでの大成功によりバスティーユ・オペラからも招かれチャイコフスキーの「スペードの女王」でデビュー、その模様はヨーロッパ各地のプレスでも大きく取り上げられた。イタリアのスポレート音楽祭、ニース歌劇場等にも、ヴェルディ「椿姫」「ファルスタッフ」、ベートーベン「フィデリオ」、モーツァルト「イドメネオ」、R・シュトラウス「バラの騎士」など幅広いレパートリーで出演、いずれも高い評価を受けている。欧米での輝かしい演奏活動の後、95年からは活動の中心を母国韓国に移し、ソウルなど国内のオペラの主要公演の多くで主役を演じている。 チェ・ヒョンス(バリトン)Choi Hyun-Soo(Bariton) 韓国が世界に誇る、アジア人オペラ歌手の最高峰。77年延世大学音楽部に実技首席で入学。卒業後イタリアへ留学、ミラノのヴェルディ音楽院、スカラ座オペラ・アカデミー、カルロ・ベルゴンツィ・アカデミーなどを全て首席で修了、その間アジア人として初めてヴェルディ国際コンクールで第一位と最高バリトン賞を同時受賞。ほかにマリオ・デル・モナコ、パヴァロッティ国際、ローザ・ポンセル等、参加した全てのコンクールにことごとく優勝、イタリア国内の歌劇場に「リゴレット」「仮面舞踏会」「椿姫」等で出演、新聞でも最上級の賛辞を得た。アメリカではパヴァロッティとの共演でデビューを飾り大成功を収める。90年ソビエト時代最後となったチャイコフスキー・コンクールで、アジア人初の一位を獲得、同時にチャイコフスキー賞を受賞するという快挙を成し遂げ、その名声は一気に世界的なものとなった。その後は欧米を中心にオペラ、リサイタルなど多くの演奏会に出演。92年カーネギーホールでのリサイタルでは聴衆を熱狂に導き「ニューヨークを輝かせた人賞」を受賞。現在は祖国での音楽活動を重要視し、韓国内で地道な演奏活動と教育に力を注いでいる。韓国政府から二度にわたり文化勲章を授与されている。 キム・ヨンファン(テノール)Kim Young Hwan(Tenor ) イタリア、ドイツ、スペインなどのオペラハウスに出演を重ね各地で高い評価を勝ち取っている韓国を代表するテノール歌手の一人。ソウル大学音楽学部声楽科を卒業後、イタリア・フィレンツェ国立音楽院に学び、さらにオジモアカデミア修了。1988年に「エンリコ・カルーソー」国際コンクールに入賞、同年「カルロ・コッチア」ノバラ国際声楽コンクール、1993年「G.B.Viotto」ベルチェルリ国際声楽コンクール、さらに1994年「ジャコモ・アラガル」国際声楽コンクールで1位入賞するなど優秀なコンクール入賞歴もつ。イタリアでのオペラデビューは、ローマでのベルディ「リゴレット」、リーニ市でのザンドナイのオペラ「フランチェスカ・ディ・リミニ」、ルチェリ市立オペラ劇場でのプッチーニ「ラ・ボエーム」のロドルフォ、またハンブルグにてゲッティンガーオーケストラと共演、またローマのサンルーカ劇場にてヴェルディ「仮面舞踏会」などに出演し、高い評価を得ている。韓国内ではソウル世宗文化会館にてヴェルディ作曲「エルナーニ」にエルナーニ役として出演 ( ソウル市立オペラ団 ) 、ソウル芸術の典堂オペラ劇場にてヴェルディ「ドン・カルロ」のタイトルロールを演じ、韓国を代表するドラマティックテノールの地位を確固たるものとした。日本には東京人見記念講堂にて日韓修交30周年記念公演として上演された、張一男「春香伝」に李ドリョン役を歌って初登場、その後二期会主催ヴェルディのオペラ「リゴレット」 ( 東京文化会館、1997年 ) にマントヴァ公爵役で出演するなど、来日を重ねている。韓国国立オペラ団所属。 オゥ・ジューヨン(バイオリニスト)Oh Joo Young(Violin) 5歳からバイオリンを始め、わずか14歳のときにニューヨークにて行われた「若手アーティスト国際コンクール」で優勝を飾り一躍注目を浴びる。アメリカに渡り11歳でサンノゼ・シンフォニーオーケストラに招かれて、大成功を博す。アメリカではその後、エサペッカ・サロネン指揮によるロサンゼルス・フィルと共演、シカゴ、デンバー、アトランタ、トロント、ニューヨークなどの主要での演奏を行い、常に高い評価を得ている。またヨーロッパでは、ベルリン、ウイーン、リヨンなどでリサイタル、オーケストラとの共演を繰り返している。韓国が世界に誇るソプラノのスミ・ジョーと競演するなど、声楽家とのコラボレーションも多く、カーネギーホールで行ったリサイタルに続き、韓国内でも6都市でコンサートツアーを成功させた。サムスン音楽財団により、イタリアのバイオリンの名器ストラディバリウスを借り受け、現在、ニューヨークのジュリアード音楽院で更なる研鑽を積んでいる。
関 定子(ソプラノ)Seki Sadako(Soprano) 北海道出身。北海道教育大から愛知県立芸大を経てイタリアへ留学、ミラノ市立音校で研鑚を積む。1977年には、わずか一年間でヨーロッパの主要国際声楽コンクール6つ(ヴェルディ、エンナ、ロニーゴ、ジーリ、ヴイオッテイ、 F= ビーニャス)に優勝・入賞を果たすという快挙を遂げている。帰国後は二期会、日本オペラ協会、東京室内歌劇場などで着実な演奏活動を展開、世界的なオペラ歌手とも共演を重ねる。中でもイタリア屈指のドラマティックテノール、ニコラ・マルティヌッチを相手にコンサートで歌った「アンドレア・シェニエ」の終幕の二重唱では、マルティヌッチと互角の名唱を繰り広げ、聴衆に大きな衝撃を与えた。最近では、イタリア・オペラ界の女王フィオレンツァ・コッソット(メゾソプラノ)との共演で、ヴェルディ歌劇「イル・トロヴァトーレ」のレオノーラを熱演しその実力を証明した。1990年頃から日本民謡や山田耕筰など日本の歌への探求を深めるようになる。日本の歌のみでニューヨーク・カーネギーホールを満場総立ちの興奮へ導き、現地プレスからも「完成され尽くした芸術家」と最大級の賛辞を得ている。国内では山田耕筰の作品ばかり100曲を納めた驚異的なCDが94年度レコード・アカデミー賞を受賞、また二度にわたり文化庁芸術祭賞を受賞しており、各地でのリサイタルでも絶賛を繰り返している。これまでの“オペラ歌手”の枠にはまり切らない「異色の大器」「遅咲きの大輪」として今後の活躍がますます期待されるばかりでなく、今後の日本歌曲普及のためには、今の日本に欠くことのできない歌手の一人である。2005年新国立劇場での「蝶々夫人」は60歳になってからのこの役デビューとなったが、聴衆に衝撃を与える大成功を収めた。 呉 恵珠(ピアノ)Kure Keiju(piano) 東京都出身。東京芸術大学音楽部ピアノ専攻科修了。野呂愛子、松原みどり両氏に師事。藤原歌劇団、日本オペラ協会、二期会、民音などの専属ピアニストとして、多くの名指揮者のもとで研鑽を積む。現在はフリーの伴奏者として、国内・国外の著名な声楽家のリサイタルやレコーディングなどで活躍中。02~04年の伊・メゾの女王フィオレンツァ・コッソットの来日リサイタルでは、オペラの雰囲気を表出する見事な演奏で、聴衆やメディアからも高い評価を得ている。
|