初めまして。

　このような問題は基本的に政府関係の機関では明言を避ける傾向にあると思いますし、文化院では政治的な発言はあまりする方針ではないようなので、私から簡単にお話させて頂きます。

　まず、従軍慰安婦問題に限らず植民地時代に関する話は、韓国の方と友人になった以上は避けられない問題であるかもしれません。最近の若い世代に関しては、結構こだわらなくなった人も多くなっていますが、表面はともかく深く情を交わしていくとまだまだこだわる人も多いのは事実です。

　おっしゃるとおり、戦争を知らない私達の世代にまで植民地時代の事を引きずって欲しくないというご意見に私も同感ですが、まだ戦前の方で植民地支配を肌で感じている方も多く残っていますし、被害者の立場から見ればそう簡単にすっきりはできないという気持ちを汲んであげる必要もあるとは思います。また、戦前の日韓史について私達日本人側があまりにも無知すぎたという点も反省しなくてはいけない部分でしょう。韓国は永遠に日本の隣国であり続けるため、今後の国際社会を考えてみた時に両国の相互理解は必要不可欠だと思います。そのためには過去の不幸な歴史を日本人側も加害者側として被害者側の立場に立ってある程度は考えて見るべきだとは思います。だからと言って、必要以上に罪意識を持つべきではないと思いますが。。。

　前置きが長くなりましたが、従軍慰安婦に対する日本側の対応としては微妙なスタンスです。確かに1965年の日韓基本条約が結ばれ日本は、韓国に対し有償無償合わせて5億ドル支払っていますし、韓国人も認識しています。しかし、その金額の中には明確に従軍慰安婦の補償までは含まれていないというのが韓国の従軍慰安婦の主張です。基本条約時には従軍慰安婦の問題が今ほどクローズアップすることはなかったのですが、1990年代前後ににとあるきっかけで次から次へと元慰安婦の衝撃的な証言によりクローズアップされ、日韓両国内において元慰安婦を支援するグループができ、ここまで大きな問題となったわけです。日本側としては、戦前のあらゆる補償は1965年の基本条約で解決済との姿勢ではありましたが、あまりにもの反響のため政府レベルではなく民間基金を通して支援金を支払う方向で進めており、韓国政府（当時は金泳三政権）も国内世論の批判を浴びながらも日本側の意見を承諾しました。しかし、元慰安婦側はあくまでも日本政府の謝罪と補償を要求、平行線状態が続いています。
　うろ覚えなので、間違った部分があったり、その後変化等がありましたら、どなたかご指摘頂ければと思います。

　韓国の方々は確かに素直に日本の事を受け入れ、誰もが好きな国といってくれるような土壌はできていませんが、今年のＷ杯を機会にかなり日本に対しては友好的になりました。世論調査では否定的なイメージもかなり改善され、嫌いな国ランキングには依然としてランクインしているものの、かつてのように圧倒的トップではなくなりました。あまり、悲観的に考えず、韓国人は国籍よりも人間そのもので見る人も多いので、ちょっとして民間外交をする気持ちで、植民地時代のことを少し勉強し、自分の率直な意見をぶつけてみながら交流していけば、きっと相手側も受け入れてくれるとは思います。
　だからといって、韓国人に対して卑屈になれということではありません。謝罪するにしてもあなた自身が韓国に対して何も悪い事をしていないのならば謝る必要だってないと思います。相手が若ければ、相手だって何も日本から直接被害にあったわけじゃないのですから。ただ、双方の不幸な過去の事を直視し、前向きな関係へと進むような考えのもとで行動していけばいいのではないでしょうか。

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