韓国発の話題作が次々と翻訳され、 韓国文学熱はかつてないほど高まっています。 しかし、 キム・ドンシクは、 本作品で日本初上陸。 それもそのはず、 韓国文学界でもこれまで異端の作家でした。
▲クイックオバケさんによる特製アニメ
https://youtu.be/UgiNqfYuLDE
▲試し読み頁
https://shosetsu-maru.com/yomimono/tameshiyomi/ichibanyowaiyokai
キム・ドンシクは来歴からして独特です。 1984年釜山育ち。 学校が嫌で中学校は1年で辞め、 ソウルの鋳物工場に10年勤務しました。 将来の夢もなく、 小説とは無縁の半地下生活を続けるなか、 2016年、 退屈しのぎでネット掲示版にショート・ショートを投稿すると瞬く間に人気者に。
突如現れた無名作家は、 韓国文学界をも揺るがしました。 本作品は2017年に初めてキム・ドンシクが発表した作品群のうちの一つ。 東方神起・チャンミンがインスタで紹介したことで、 幅広い層のファンを獲得しました。
その後も、 コンスタントにショート・ショートを発表し、 これまでに書いた作品は約900編にのぼります。
▲表題作「世界でいちばん弱い妖怪」 ……人間界に落ちてきた妖怪は、 警官に取り囲まれるなり、 開口一番、 救いを求めた。 「ねぇ待って! 撃たないで! 一発で、 ぼく死んじゃう」。 妖怪には足がない。 歩けない。 震えながら取引をもちかける。 「君たちがぼくを生かしてくれるなら、 ぼくも自分の妖術で人間を助けることができるよ」。 妖怪に食べられると肛門から出るころには若返るという。 実際に妖術が成功すると、 若返りを求めて人びとが列をなした。 人類と妖怪の共存だ。 しかし約1万人が青春を取り戻したころ、 のみこまれた人が死んでしまう事故が起こり……。
『世界でいちばん弱い妖怪』
著/キム・ドンシク 訳/吉川凪
イラストレーション/クイックオバケ
定価1,540円(税込) 新書判288ページ
2021年11月10日発売 小学館
https://www.shogakukan.co.jp/books/09356731