ひこうき雲 著者 : キム・エラン
ニックネーム : Maria 掲示日 : 2022-09-19


こちらの書評で気になって、手に取った。ずっしりと重い話が多いのだが、情緒的で、表現が美しく、時折主人公の置かれた悲しい立場から抜け出るような気分になった。私が個人的に衝撃的だったのは、「水中のゴリアテ」と「三十歳」である。前者は、台風で雨が降り続く中、読んだためにその状況と相まって水の世界の怖さと静けさを感じた。後者は、韓国で実際にあったという、大勢の大学生がソウルの一角で従事させられていたマルチ商法を題材にしたものだ。筆者が、事実を知りたいのならニュースを読めば良い。私は個人とそれにまつわる話を書いている、というようなことをあとがきで述べているが、確かにただニュースを聞くよりも、ある特定の個人の話として受け止めた。したがって、客観的にというよりもっと自分に近い知り合いの話のように読めた。貴重な20代の時間を、騙され、合宿の中で飢えながら売りたくもないものを売らざるをえなかった人たちの苦しみは、いかほどだろう。心が苦しくなった。精神的に安定している時に読むことをお勧めする。

表紙 タイトル
三十の反撃 ソン・ウォンピョン
 反撃できる年齢からは遠ざかってしまった自分。まだチャンスのあるジヘがうらやましい。  「私だって最初からこんなだったわけじゃないんだ…。」会社を辞める時のキム部長の言葉に思わず、そうそうと言葉が漏...
年年歳歳 ファン・ジョンウン
韓国文学の中心にあるもので紹介されていて以前から気になっていたところに、インスタでもオススメされていたことから、原書も併せて購入し読みました。 時代や社会に翻弄されながら、タイプの違う3人の女性...
君という生活 キム・ヘジン
「君」という存在について、「僕」の視点でつづられていく短編。私は韓国語が判らなくて翻訳を読むしかないのだが、これは原文で読むべきなのだろう。それほどに、感情描写が繊細(それが翻訳であっても感じる)だし...
普通のノウル イヒヨンさん
17歳の少年ノウルが「普通」って何だろうと頭を悩ませながら、他の誰でもない自分だけの基準と価値観に基づいて普通や当たり前と向き合い受け入れていく姿に、「それでいいんだよな」と私も勇気をもらいました。生...
破果 ク・ビョンモ
60代の女殺し屋が最後の死闘に向かっていく様子を、鮮明に、もはや生々しく感じられる物語でした。中でも特に、最終盤の闘いの場面では思わず呼吸が速くなったし、何度も目をつむってしまうほどでした。 また、...


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